飼育研究

ルリボシカミキリの飼育2021年

 

飼育下で交尾するルリボシカミキリ

2021年に採集したルリボシカミキリを累代飼育目的で飼育してみた結果を公開します(結果的に失敗)

■採集データ

・採集日時(1):2021年7月21日 13:00 2♀
・石川県白山市
・天候データ:晴れ、微風、気温31.1℃
・採集日時(2):2021年8月1日 13:00 1♀1♂
・石川県白山市
・天候データ:晴れ、微風、気温30.5℃

■2021年7月21日
プラケース(230mm×150mm×170mm)内にオガクズと転倒復帰用の落枝を数本入れて飼育開始.エサは市販の昆虫ゼリーで今回は採卵目的であるため高蛋白ゼリーを用いて見る

■2021年8月1日
1♀1♂を追加採集
・♂が♀を追尾するも交尾行動は観察出来ない

■2021年8月3日 産卵木の準備
産卵木の準備
・クワガタ用コナラ材(椎茸ホダ木の廃材)を試す.2時間加水1日乾燥でも加水過多であるため乾燥継続.飼育環境は気温27℃をキープする
・14時頃に交尾確認
♂が♀にマウントしても♀が未成熟の(または気が無い)場合は♀が産卵管(交尾器)を伸ばさず交尾不成立.♀が成熟個体の場合は♀自らも交尾器を伸ばし♂に交尾を促す.♂は生殖器の細い管を♀の交尾器に差し込んで交尾成立となる.交尾中の♂は小刻みに身体を揺らす動きを観察できた
・複数との交尾も確認
・22時頃♂の周りに♀が集まりだす.♂は飼育ケースの壁に静止して♀に興味を示さない.22:30頃には全頭が活動休止した

■2021年8月5日 1日の様子を観察
・AM7:30 全頭活動停止を継続.アンテナ含めてピクリとも動かない
・AM8:00 交尾行動開始.1回の交尾時間(連結時間)は1分程度と長くはないが連結を解いた以降も追尾を継続しその間に複数回連結する様子を観察した.この行動は野外生態でもしばしば観察する行動である
・PM1:00 全頭が活動活発化(追尾、採餌、ケース内を飛び回る)
・PM7:00 活動活発.この頃から♂の好みが顕著化し気に入った♀にのみマウント~交尾活動に入る.♀の最大個体が盛んに♂にモーションかけるも♂は無視する行動を何度も観察する.交尾活動は22時過ぎまで続く

■2021年8月6日 産卵を促すために古材を追加投入した.以降は材の種類を交換して産卵を促す実験を試みる予定であったが天候不順等の要因で産卵木入手が出来ず断念.

■2021年8月11日 全頭の死亡を確認

■以下総括
・産卵木の選定重要なファクター.野外ではかなり古い材に成虫が集まる様子を観察出来るため野外と同様の状態の材および樹種の精査が必要
・今回の採集時が発生直後と想定すると交尾と産卵は元気に飛び回れる発生から二週間程度ではないかと思われる
・機会を見て再度累代飼育の実験を行う予定

 

2022年11月15日 白山好虫会

LastUpDate 2022.11.15