セミ図鑑(石川県生息種)

石川県内で確認出来る種をピックアップしています。記事内容は全て本会にて独自調査した結果による経験則的なもので他のサイトや図鑑からの引用は殆ど行っていません。よって学術的観点から見た場合の誤りを含んでいる可能性があります。

ハルゼミ

Terpnosia vacua

松の細枝で鳴くハルゼミ

■■出現期■■

4月下旬~6月下旬

■■生息地■■

平地~低山地の松林

■■生態■■

好天時に断続的に合唱し、1頭の雄が鳴き始めると次々に他の雄が同調。しばらくすると鳴き止む。陽の当たる枝上で鳴くことが多い。初秋に孵化し幼虫で越冬する。

■■鳴き声■■

ムゼームゼー・・・,ギーギーギー・・・

■■画像■■

»ハルゼミ幼虫 »抜け殻 »白台紙撮影のハルゼミ雄

エゾハルゼミ

Terpnosia nigricosta

ヤナギで鳴くエゾハルゼミ

■■出現期■■

6月中旬~7月下旬

■■生息地■■

ブナ帯付近

■■生態■■

合唱する場合が多い。初秋に孵化し幼虫で越冬。

■■鳴き声■■

ミョーキン・・・ケケケケケ・・・・・・(遠くで聞くと「ミョーキン」は聞き取り難く「ケケケケケ・・・」部分がヒグラシの声の様に聞こえる。)

■■画像■■

»エゾハルゼミ雌 »白台紙撮影のエゾハルゼミ雄

ニイニイゼミ

Platypleura kaempferi

サクラで鳴くニイニイゼミ

■■出現期■■

6月下旬~9月上旬

■■生息地■■

平地や市街地,低山地の林内,果樹園等。学校の校庭や公園などでも一般的に見られる。

■■生態■■

桜,松などの幹に多いが、樹種選ばず。早い時期に出現した場合は初秋に孵化し幼虫越冬。

■■鳴き声■■

チィーーーーーと連続音

■■その他■■

八重山,沖縄諸島,奄美大島,対馬等に亜種

■■画像■■

»抜け殻

アブラゼミ

Guaptopsaltria

交尾中のアブラゼミ

■■出現期■■

7月~9月 金沢市内ではニイニイゼミより少し遅い。

■■生息地■■

ニイニイゼミとほぼ同じ。

■■生態■■

産卵されて7年目に羽化。卵で越冬。孵化は翌年梅雨頃。

■■鳴き声■■

ジーーーーー・・・・・ジリジリジリジリ

アブラゼミの名称は、この鳴き声が油を揚げた音に似ていることに由来。

 

■■その他■■

沖縄地方に亜種

■■画像■■

»打ち枝で部分枯れした幹に産卵するアブラゼミ

クマゼミ

Cryptotympana facialis

サクラで鳴くクマゼミ

■■出現期■■

7月下旬~9月上旬

■■生息地■■

平地,市街地に多い。石川県への流入は90年代付近。

■■生態■■

日の出から正午くらいまでの午前中に鳴く。多産地域ではアブラゼミとほぼ同時期に出現し、ツクツクボウシシの出現とともに減少する。卵で越冬。

■■鳴き声■■

シュワッシュワッシュワッシュワッ・・・・・

■■その他■■

八重山諸島に亜種

スジアカクマゼミ

Cryptotympana atrata

公園で鳴くスジアカクマゼミ

■■出現期■■

7月中旬~9月上旬

■■生息地■■

そもそもの分布は、朝鮮半島から中国、台湾、インドシナ半島北部。国内生息地確認中レベルの外来種のセミ。石川県内生息地でも生息地は局所的だが拡大傾向にある。ヤナギの木を好む傾向あり(調査中)。

■■生態■■

午前中に鳴くクマゼミと異なり一日中鳴き、かつ、合唱する傾向が強いため、海外の多産する生息地では鳴声が騒音公害になっていると聞く。クマゼミと同じく大型のセミであるため幼虫も含めて力強く、地面が踏み固められた場所でも繁殖は可能であろう。また海外の実情を見ても都市には馴染みやすいと思われ、国内の分布域も広がりを見せると想定する。

■■鳴き声■■

ジとギの中間の様な音の連続ビブラート

■■その他■■

外見はクマゼミに似るがひと回りは小型。翅脈の色はクマゼミほど緑が強くなく名前の通り赤味が強めに出る。

■■画像■■

»開翅 »腹面(雄) »腹面(雌) »脱皮直後

ミンミンゼミ

Oncotympana maculaticollis

樹上で鳴くミンミンゼミ

■■出現期■■

7月下旬~9月下旬

■■生息地■■

湿度の高い林などに多いが金沢市内でも若干山寄りの林で一般的。若干低所のブナ帯などにも多く見られる。

■■生態■■

地域によって緑色部・黒色部の比率に差異が見られる(黒色部が無い(少ない)個体はミカドミンミンと呼ばれる)。飼育例によると産卵されて7年目に羽化した。卵で越冬。

■■鳴き声■■

ミーンミンミンミンミンミーン・・・・

■■画像■■

»外灯に飛来したミンミンゼミ

ヒグラシ

Tanna japonensis

杉林で鳴くヒグラシ

■■出現期■■

6月下旬~9月上旬

■■生息地■■

やや山地の湿った林に多いが平地でも見られる。

■■生態■■

早朝や夕方によく鳴く。生息地によって色彩変化が大きい。セミヤドリガの宿主であるため、背弁付近に幼虫が付着した固体が多い。幼虫で越冬。

■■鳴き声■■

カナカナカナカナカナカナカナ・・・・

 

■■その他■■

石垣/西表島,八重山諸島にそれぞれ亜種。

■■画像■■

»外灯に飛来したヒグラシ雌 »ヒグラシ雌(色彩変異) »ヒメギスに襲われる雄

ツクツクボウシ

Meimuna opalifera

樹上で鳴くツクツクボウシ

■■出現期■■

7月下旬~10月上旬

■■生息地■■

平地から低山地の樹林。市街地にも生息する。

■■生態■■

一日中鳴くが特に夕方によく鳴く。卵で越冬。

■■鳴き声■■

ツクツクボーシ・・・・

■■その他■■

屋久島に亜種,奄美大島にオオシマゼミ,九州地方(一部)にクロイワツクツク,八重山諸島にイワサキゼミ,小笠原諸島にオガサワラゼミと近縁種が多い。

■■画像■■

»ツクツクボウシ雌

コエゾゼミ

Tibicen bihamatus

下草にとまるコエゾゼミ

■■出現期■■

7月上旬~8月下旬

■■生息地■■

標高1,000㍍付近のブナ帯など。

■■生態■■

梢近くや細枝に止まって鳴く。鳴き移りもする。よく逆さに止まって鳴く。卵で越冬。

■■鳴き声■■

ジ――――――と連続音。間奏音ジッ、ジッ、ジッ

■■画像■■

»ブナの幹で鳴くコエゾゼミ »エゾゼミとの模様の違い

エゾゼミ

Tibicen japonicus

白台紙撮影のエゾゼミ

■■出現期■■

7月下旬~9月上旬

■■生息地■■

針葉樹に多い。標高1,000㍍付近の林。金沢市の低山帯にも多い。

■■生態■■

幹に下向きに止まって鳴く。雌は外灯にも良く飛来する。卵で越冬。

■■鳴き声■■

ギィ―――――と連続音。終奏音は断続的。

■■その他■■

屋久島にヤクシマエゾゼミ、四国,九州にキュウシュウエゾゼミが生息している。

アカエゾゼミ

Tibicen flammatus

白台紙撮影のアカエゾゼミ

■■出現期■■

7月下旬~9月上旬

■■生息地■■

主に標高1,000㍍付近の山地だが400㍍付近の民家近くでも確認出来た。エゾゼミは針葉樹を好むのに対して本種はブナ林などの広葉樹を好む。分布は局所的。

■■生態■■

梢近くや葉の茂みの上で鳴く。卵で越冬。

■■鳴き声■■

ジィ―――――と連続音。以前は「終奏音に断続音が入らない」とされていたが近年の研究では鳴き渡りの際にはエゾ,コエゾと同様に間奏音が入ることがわかった。音域としてはエゾと異なるが単独で聞分けが出来るようになるにはある程度の経験が必要。

■■その他■■

エゾゼミとの違い ①前胸背のW字紋の周りに白粉を吹かない ②前翅の暗色斑がエゾは4つに対し本種は2つで明瞭さを欠く ③雄の腹弁は第3節を超えない。等々

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»雄の腹面

チッチゼミ

Cicadetta radiator

白台紙撮影のチッチゼミ

■■出現期■■

7月下旬~11月上旬

■■生息地■■

山地系。針葉樹林に多いがブナ林にもいる。

■■生態■■

小枝の上側で鳴くため姿が見えにくい。唯一、生枝(ツツジ)に産卵するセミ。卵で越冬。

■■鳴き声■■

チッ・チッ・チッ・チッ・チッ・・・・

■■その他■■

北海道には近縁のエゾチッチゼミが生息している。

■■画像■■

»サクラの小枝で鳴く① »サクラの小枝で鳴く②