ナナフシ図鑑(石川県生息種)

石川県に生息するナナフシ科は6種類です。うち西日本に多いトゲナナフシの確認は近年です。現在、太平洋側で生息域北上中のタイワントビナナフシが将来的に石川県に入ってくる可能性も...?

トゲナナフシ

Neohirasea japonica

石垣にへばり付くトゲナナフシ

■■成虫出現期■■

夏~秋 暖地では晩秋~初冬まで見られる。

■■生息地■■

湿潤な林床や茂みを好むが秋以降は日当たりの良い山道に出てくる。林道の側溝などもポイント。地表性。石川での確認は近年で関西以西に多い本種の北限に近い。

■■生態■■

単為生殖。産卵は落下方式。

■■特徴■■

無翅。♀57~75㍉野外産♂は未知(飼育下で数例のみ)。淡黄褐色~黒褐色。ごく稀に緑掛かった個体が見られる。全身に大小のトゲや小瘤粒があるが発達程度に個体差あり。

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»神社の境内にて »モズのハヤニエにされたトゲナナフシ

ニホントビナナフシ

Micadina phluctaenoides

ミズナラ葉上のニホントビナナフシ

■■成虫出現期■■

7月~12月

■■生息地■■

シイ類などのブナ科植物を含む林。沿岸地~低山地に多い。

■■生態■■

ほぼ単為生殖。♂は稀。

■■特徴■■

有翅。♀46~56㍉ ♂36~40㍉。♀は緑色触角は淡紅褐色。複眼から後方にかけ黄緑色条,中胸側縁に赤褐色条が明瞭。前翅前縁は茶色。後翅膜質部は赤紅色。腹面は黄緑色。

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»ニホントビナナフシ幼生

ヤスマツトビナナフシ

Micadana yasumatsui

コナラ葉上のヤスマツトビナナフシ

■■成虫出現期■■

7月~晩秋

■■生息地■■

やや山地性だが、ブナ帯から平地まで広範囲。

■■生態■■

単為生殖。産卵は落下方式。

■■特徴■■

有翅。♀42~54㍉♂は未知。♀は緑色。触角は黒褐色で緑色斑がある。後翅膜質部は淡い赤紅色。胸・腹部腹面は白色。前・後翅の合わせ目に沿った部分は紫紅色。尾蓋片前器はない。ニホントビナナフシやシラキトビナナフシと混棲していることが多い。

シラキトビナナフシ

Micadina fagi

クリ葉上のシラキトビナナフシ

■■成虫出現期■■

7月下旬~晩秋

■■生息地■■

ブナ・ミズナラ帯など高山地。

■■生態■■

単為生殖。産卵は落下方式。

■■特徴■■

有翅。♀43~52㍉♂は未知。♀は緑色。触角は黒褐色で淡黄緑色斑がある。後翅膜質部は淡い赤紅色。胸部腹面は黄緑色。腹部腹面は白色。前・中胸背背中線と前・後翅の合わせ目に沿った部分は紫紅色。前胸背に後ろ向きのEまたは三の字状の模様がある。各脚の基方(関節部分)は橙色。尾蓋片前器は細長いY状。

ナナフシモドキ

Baculum irregulariterdentatum

路肩のコンクリート壁に付くナナフシモドキ

■■成虫出現期■■

6,7月~晩秋

■■生息地■■

平地~低山地の明るい雑木林,林縁に多い。樹上高く登ることが良くある。

■■生態■■

単為生殖。♂は極めて稀。幼虫は群がることがある。

■■特徴■■

無翅。♀74~100㍉♂57~62㍉。♀は緑色~黒褐色。体全体に暗色斑点を散布する個体多し。頭部には1対の角状突起があるが突出程度は個体差あり。♂は褐色で角状突起なし。野外産の♂の発見は1990年。

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»ナナフシモドキ幼虫

エダナナフシ

Phraortes illepidus

タニウツギ葉上のエダナナフシ

■■成虫出現期■■

6月下旬~晩秋

■■生息地■■

日当たりの良い雑木林や林道沿いの草上。若齢のうちはイタドリなどの丈の低い植物上に群がることがある。

■■生態■■

野外で♂♀とも見つかるが山地や寒地では♂は稀。そのような場所の個体は単為生殖と思われる。

■■特徴■■

無翅。♀82~112㍉ ♂65~82㍉。♀は緑色~黒褐色。頭部に角状の突起があるが稀に欠く。頭部側面に淡黄白色条が,体側に沿って赤紅色条がある。♂は緑色で褐色系は少ない。